自分のことは自分で
金木犀の甘い香りに、ふと立ち止まり、秋を満喫したくなる今日この頃です。
ジャックキンダーガーデンでは、日頃から「自分で出来ることは自分でさせる」という方針で指導にあたっています。では、2〜3歳児を中心に編成されているキンダークラスの子供達にとって、自分で出来ることとは...?ちょっと教室を覗いてみましょう。
登園して最初に取り組むのが靴の着脱。以前はマジックテープを足の脇に留める靴を履いていましたが、今ではストラップシューズのスナップを留めたり、足にぴったりのバレエシューズのかかとに人差し指を入れたりしながら、上手に履いています。靴をはき替えたら、上履き入れを半分にたたみ、決められた箱の中にしまいます。続いて、リュックサックのファスナーを開けて出席ノートを出し、先生に教えてもらったその日のマスに、はみ出さないようシールを貼ります。シールの台紙はゴミ箱へ。席を立つときは、自分が座っていた椅子をテーブルの下にしまいます。さらに、リュックサックからループのついたお手ふきタオルを出し、決められたフックに掛けに行きます。絵画制作のある日はスモックを着、体操の日には体操服に着替えます。脱いだ服はたたんで袋にしまいます。荷物の出し入れが終わったら、リュックサックを棚にしまいます。そして、トイレ。排泄の後は水道で手を洗い、自分のお手ふきタオルで手を拭きます。タオルを握っているだけで拭いた気になっていた子供達も、今では手の平だけでなく、手の甲の水もきちんと拭き取っています。朝の登園からわずか10分ほどの間に、子供達はこれらのことを自分でするのです。
さらに、遊んだ玩具や道具の片付け、お弁当の支度や片付けなど、キンダークラスの生活の中で、子供達は限りなくたくさんのことを自分でしています。もちろん、ある日突然出来るようになったわけではありません。根気よくやり方を伝え、訓練を重ねた結果です。
では、日々の生活の中での言葉がけで、身についていくことはどうでしょう?
実は、最近気になっていることがあります。子供達は、よく机の上の物を落とします。クレヨンだったり、教材だったり、時にはお弁当の時間にスプーンやフォークを落とすこともあります。そんなとき、落としたお子さんが最初に口にするのは、「先生、落ちちゃった・・・」。このような場面に遭遇するたび、「落ちちゃったのではなく、落としたのでしょう。自分で落としたのだから、自分で拾いなさい」と言うようにしています。幼児には、"落ちた"と"落とした"の違いは難しいかもしれません。それでも私は敢えて口にします。『自分のしたことは出来る限り自分で責任を取る』という習慣を、幼い頃から少しずつ育んでいかなければならないと思うからです。
子供達が成長し、社会という集団の中で本当に責任を取らなければならない立場になった時、誰かのせいにして逃げるか、自分の責任を素直に受け入れ、最善の対処を行えるよう努力できる人間になるかは、幼い頃からの環境や周囲の働きかけで大きく変わって行くと思います。私たち大人が語りかける一言一言が、その子の人格形成に関わっていることを意識しなければなりません。
木村昭恵
〜次回掲載は11月7日(金)の予定です〜