JAC幼児教育研究所

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母親こそが最高の先生 〜夏休みを過ごすにあたって〜

2008年9月10日 17:17

家庭の事情にもよりますが、多くの場合、家庭学習を担当するのは母親です。
 「この子を何としてでも志望校に合格させなければならない」と強く思っている母親は、すでにその子にとって最高の先生になれる素質を持っています。
 しかし、子どもが同じ問題を繰り返し間違えたり、期待通りに成績が伸びなかったりすると怒り出し、「何度も同じ問題を間違えて、恥ずかしくないの?」「どうしてこんな簡単な問題が解けないの!」とマイナスの言葉で責め立てて、泣かせたり自信を無くさせたりするケースもあり、その点では最悪の先生になる可能性もあります。
 子どもはみんな、母親のことが大好きです。注意されると口答えをしたり、ときには憎らしい口をきいたりするのは、自分は愛されているという安心感があるからです。子どもにとって、母親は唯一無二の絶対的な存在なのです。
 当然のことながら、そうした存在である母親の言葉は、子どもに多大な影響を与えます。とりわけ、先入観のない真っ白な状態の幼児の場合は、母親の言葉がストレートに心に入っていきます。「良い子ね」「がんばりやさんね」「すごいわね」「やさしい子ね」と言ってもらえれば、自分はそういう子だと思います。反対に、ため息混じりに「ダメな子ね」「がっかりだわ」「意地悪な子ね」と言われて育った子は、自分はそういう子だと思い込んでしまいます。
 母親は、こうした幼児の特性をきちんと理解し、子どもをより良い方向へと導いていかなければなりません。家庭学習をしているときにも、意図的に、「最後まで諦めないすごい子」「お話をよく聞く子」といった良い言葉・プラスの言葉を掛けてやることが重要です。注意をするときでも、決して欠点を指摘して責めたりしないことです。例えば、飲み込みが悪くてなかなか理解できない子には、「あなたは時間をかけてきちんとやれば、必ずわかる子なのよ。だからがんばろうね。」また、早合点して些細なミスを繰り返す子には、「ちゃんと考えればできる子だから、もっと落ち着いてやろうね。」といった具合に、その子の弱点を感じさせないような言葉をかけ、子ども自身を前向きな気持ちにさせながら、楽しい雰囲気の中で家庭学習を進めることが大切です。
 さらに、辛抱することも重要です。プラスの言葉掛けをしても、子どもがすぐには変わるとは限らないからです。もし6年かけてレッテルを貼ってしまったとすれば、そう簡単には剥がれません。でも、良いと思って始めたことは、是非、最後まで継続してください。
 夏休みは母親との家庭学習の時間が長くなります。「こんなに教えているのに、なんで出来ないの」と怒り続ける母親と一ヵ月半も向かい合っていたのでは、自信をつけるどころではありません。一つの目標に向かって家族で努力できる喜びを感じながら、自分がどれだけ子どもにとって重要な存在なのかを自覚して、この夏、最高の先生に!<2007年7月26日掲載文>

〜次回の掲載は7月24日(木)の予定です〜