JAC幼児教育研究所

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言葉のシャワーを浴びせていますか?

2015年3月 9日 00:00

「うちの子は言葉が遅いので張り合いがない」とか、

「子供が答えないので最近は言葉がけが少なくなった」という

お話を耳にすると、たとえ話せなくとも、お子様の目や耳や肌などは言葉の刺激に反応し、たくさんのことを学んでいるのに...と、残念に思います。

あなたは『りんご』という言葉から何を思い浮かべますか?
お子様がリンゴを目にして「あっ、りんご!」と叫んだ時、「そうね」と答えるだけで終わっていませんか?
忙しくてつい返事だけになることもあるでしょう。でも、お子様が興味を示したこの時がチャンス!
「赤いね」
「丸いね」
「転がしてみよう」
「ぴかぴか光っているわね」
「つるつるしているね」
「堅いね」
「いい匂いね」
「美味しそうね」
「重いかな?」
「持ってみようか」

など、実にいろいろな言葉かけができます。さらには、
「中はどうなっているのかな?」
「切ってみよう」
「中は白いのね」
「種があるよ」
「食べてみよう」
「甘いね」
「噛むとサクサクって音がするね」...

と、どんどん広がっていきます。幼児期のお子様は、多くのものを吸収しながら、興味や好奇心の芽を育て、想像力などあらゆる能力を養い、成長しています。五感を刺激する言葉をいっぱいかけてあげましょう。

ただし、いつもやみくもに言葉をかけ続ければ良いということでもありません。例えば、お子様が夢中になっておもちゃで遊んでいる時には、集中力や思考力を中断させてしまうかもしれません。

「一人で遊べる」ということは、自立の大切な要素の一つでもあるのです。

ところで、2〜3歳児に、「ケーキはどんな味?」と尋ねると、大多数の子から返ってくるのは、「美味しい」という答えです。また、『甘い』の反対語を問うと、『辛い』ではなく『おいしくない』と返ってきます。つまり、多くの幼児は、『甘い=美味しい』ととらえているようなのです。でも、子供達が好きなカレーライスやラーメンを始め、辛い物や酸っぱい物にも美味しい物はたくさんあります。お弁当に、梅干しのおにぎりが入っているお子様も大勢います。お子様に言葉がけをするときは、様々な味覚を表現する言葉も、食感を表す言葉とともに、少し心に留めておいて下さい。

また、言葉がけには、別の効用もあります。

お母様だけでなく、日頃多くの子供達と接している私共にしてもそうなのですが、多くの人は自分の好む表現をついつい使ってしまいがちです。例えば、『多い』『たくさん』『いっぱい』『たっぷり』『どっさり』はどれも同じような意味なのに、いつも『たくさん』と言ってしまうというような具合です。お子様は、家族→親戚→近隣→お稽古場→幼稚園と集団の輪が広がるにつれ、いろいろな方との関わりが増えていきます。そして、そうした方が、どのような表現を使うかはわかりません。ところが、例えば幼稚園の先生が、「いっぱい色を使って絵を描きましょうね」とおっしゃったときや、お隣のおばあちゃまが、「どっさり持っておいき」とお菓子の箱を差し出されたときも、『たくさん』しか知らない子は理解できません。ですから、集団生活を円滑に送るためにも、ご家族以外の方が話す言葉を理解できることは重要です。そして、そのためには、日頃から言葉のシャワーを浴びて、多くの表現に親しむことがなによりなのです。

とはいえ、お母様の言葉がけだけでお子様の語彙を増やすのは大変なこと。そこでおすすめしたいのが絵本の読み聞かせです。美しい日本語で書かれたお話を大好きなお母様に読んでいただくひとときが、お子様にとって至福の時間になるとともに、飛躍的に語彙を増やしてくれるはずです。ぜひ、お子様と一緒に楽しんでみてはいかがですか?

 

笹尾 和子 (横浜元町教室)

 

 

キーワード:育児

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