手をつなぐ
日頃、お母様方はお子様と手をつなぐことが多いと思います。
どうして手をつないでいるのでしょう?
小さい体で大人と同じ歩調で歩くのは大変だから
勝手に好きなところへ歩き出してしまうから
色々な物に興味を持ってしまい道端で遊びだしてしまうから
用事があって急いでいるから
車や自転車が危ないから
他の歩行者の方の邪魔になるといけないから
導いてやらないと自分の進む方向が分からないから…
このほかにもきっとたくさんの理由があることでしょう 。取り立てて理由など無くても、無意識に安全を確保するために手を引いたり、安心させるためにスキンシップとして取っている場合も有るでしょう。
手をつなぐ――つないでいるのは手だけではありません。
つないだ手を通して心をつないでいるのです。
お子様に、お母様の思いを伝えたい時に、色々な言葉で語りかけるよりも、ぎゅっと手を握り返した方が伝わる場合があることをご経験なさったことはありませんか?
手の握り具合、温かさ、その中には様々なメッセージが込められていると思います。
『大丈夫よ、安心して』
『よく頑張ったわね』
『いつも一緒よ』
などたくさんの思いを手のひらの温かさでお子様に伝え続けているのです。これこそ揺るぎなき安心感です。
また、具体物が目の前にあって一つ一つ確認のとれる事ならまだしも、心情的な物、例えばお母様の思いを伝えたいのであれば、言葉を並べ立てて納得させるよりもずっと確かな伝え方ではないでしょうか。小さいお子様なら尚更です。
そして進路や道しるべも示しています。お子様が小さい内は一つ一つのことに手を引いて導きます。そうすることで確かな物、安全な物をたぐり寄せてゆきます。
少し大きくなって善悪の判断がつくようになれば、経験や説明で導きます。大人になれば自分自身の判断で進む方向を決め必要な物を選択します。こうしてだんだん成長するにつけて手を握る回数は少なくなってくるはずです。
キンダーガーデンの年齢のお子さま方はまだ方向も道しるべも自分で選び取ることは出来ません。
しっかり手をつなぎ、そこへたくさんのメッセージとお母様の思いを込めてください。
木村 昭恵 (四谷教室)