意外に思われる方も多いかもしれませんが、小学校受験では、お父様がどれだけ関わっていらっしゃるかという点が合格の一つのポイントになってきます。もちろんお母様の関与も重要なのですが、お母様だけの主導では最終的に上手く行かなくなってしまうこともあります。そのため私どもでは、お父様にもなるべくお子様の様子を見に来ていただいたり、お父様向けの講座に足を運んでいただいたりして、お母様と同じような目線で小学校受験に取り組んでいただけるよう、アドバイスしています。
実際、私立小学校の関係者からは、「面接では信頼関係が築けている家庭であるのかを見るようにしている」という話をよく聞きます。「両親が信頼し合い、同じ目標に向かって頑張っている家庭の中で子供が育っているか」という点を学校側は見たいと考えていますし、そういうご家庭は面接でも合格点を取ります。
これは小学校選びにも共通していえることです。小学校受験に関してお父様からよくいただく質問に「自分の子供は小学校受験に向いているのか」というのがあります。お父様に限らず、お子様に合った学校を選ぶことを学校選択の最優先事項にされているご両親は多いのですが、本当に大切なのは「家庭の教育方針」に合った学校を選ぶことです。そのためには、ご両親が考えるお子様の教育方針や将来像が一致していなければなりません。
まだ5~6歳のお子様を明確な教育方針に沿って育てているご家庭は少ないとは思いますが、「なんとなくこんな風に育ってほしい」という漠然としたものはあるのではないでしょうか。その「なんとなく」をご両親で話し合って1つにまとめることで、お子様に対する将来に渡っての一貫した家庭教育の基礎も固まることになる。親が深く関わる小学校受験は、家庭の教育方針を作り上げていく、ラストチャンスでもあると私は考えています。
もう1つ、小学校受験に際してお父様方にアドバイスしているのが、「お子様から見て、絶対的な信頼感を持たれる存在であってください」という点で、これが受験におけるお父様の最も大切な役割でもあるとも考えています。わからないことがあってもお父様に聞けば大丈夫、お父様ならなんでもわかる。そうした信頼のおけるお父様がご家庭にいることで、お子様は大きな安心感を得ることができます。
そのためにはお父様にも日頃から家庭での受験準備に積極的に取り組んでいただく必要があります。ご自分の得意な分野で構いませんから、例えば運動やお絵かきを教えながら、「君を信じているよ」「一緒に頑張ろうね」など、お子様が安心するような言葉をかけてあげる。お子様にとっては、お父様が常にそばで見守ってくれていることや、自分と一緒に頑張ってくれていることが、やる気の向上にもつながります。
一方で、お父様にとって小学校受験は、お子様の成長を間近で見ることができる、貴重な機会にもなっているようです。受験経験者のお父様達から、「子供の成長を感じることができて、感動した」というお話をよく伺います。いつもお子様のそばにいるお母様と違い、お父様は仕事の都合などで成長のポイント、ポイントしか見ることができませんので、急に言葉がしっかりしてきたり、甘えん坊だったお子様が1人で模擬テストに行ったり、初めての環境でも堂々としている場面などに遭遇すると、大変驚くそうです。
実は小学校受験は"自立"のポイントでもあります。初めての環境、お友達、先生達、そして自分も緊張している中で、それを乗り越えて自分の力を発揮していく訳ですから、親から離れる精神的自立にもつながっていきます。お父様達はそこに感動されるようです。
また、ご自分が面接練習などをされることで、小学校受験がいかに難しいかがわかったと、おっしゃるお父様も少なくありません。仕事のプレゼンテーションで自分の考えを話すことはできても、子供のことや家庭の考え方を伝えることは難しいと痛感されるようで、自分なりに勉強したり、家庭の教育方針などを煮詰めたりと、いろいろ学ぶ機会になってよかった、というお話も伺います。
受験経験者のお父様達が実感されているように小学校受験は、お子様の知能、運動能力を伸ばすだけでなく自立した精神を成長させていく、さらにはご家庭において、お子様の将来像を考え直す、いいきっかけになります。受験をお考えのお父様には是非この機会にお子様の教育方針についてご家庭で話し合われ、いろいろな小学校を見学されて、教育方針に合った学校選びや受験への取り組みへとつなげていただきたいと思います。
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