ジャックの絵本
ジャックの絵本
「ただいまー。」
つんちゃん ねちゃったかな?
つんちゃんはパパが大好き。
でもパパはお仕事が忙しくて なかなか一緒に遊ぶことができません。
パパ- おはよう!!
今日は、ずっと前から約束していた特別な日曜日。
パパと公園に行くんだと、つんちゃんは、とても楽しみにしていました。
わーい、わーい。
公園に行くよ。パパ、早く、早く。
わかった、わかった。
つんちゃん そんなにひっぱらないで…
公園に着くと、つんちゃんは勢いよく走り出しました。
「パパがオニだよ。つかまえてね」
「おっ、おにごっこか。まてー!!」
こっちだよー
つかまえてみなー
みどりの芝生の上を、逃げるつんちゃん、
追いかけるパパ。
「まてー!!」
「またないよー!」
パパー、こっち、こっち。
はあ、はあ、はあ…
つんちゃんはすばしっこくてなかなかつかまりません。
パパは、すっかり疲れてしまいました。
「つんちゃん、パパは少しおやすみするから、つんちゃんひとりであそんできてよ」
「うん、わかった!でも、ちゃんと見ていてね」
つんちゃんは、すべり台へむかって走っていきました。
「いい天気だなぁ」
ベンチに座ったパパはおそらを見上げてほっとひといき。
公園の中では、たくさんの子どもたちが遊んでいます。
「あれはジャングルジムだな。みんなうまくのぼるなぁ」
「こっちはのぼりぼうか。あれ、むずかしいんだよなぁ。なんか懐かしいなぁ…むかしよくのぼったよなぁ」
公園のなかを見回しながら、そんなことを考えていると…
パパ…
見てないんだ…
あれあれ??つんちゃんがすごい顔で怒っています。
「あれ、?すべり台行ったんじゃなかったの?」
「行ったよ。もうすべった」
「もう一回やっておいでよ」
「やらない」
「じゃあ、ジャングルジムは?」
「行かない」
「どうして、楽しいよ」
「楽しくない」
「じゃあ、のぼりぼうは?それとも砂場がすきなのかな?」
「どっちもやらない。つんちゃん、もう遊ばない!」
「どうしたの?おなかでもいたいの?」
「ちがうよ。パパがわるいんだ!」
「えっ?パパ、何かしたか?」
「ちゃんと見てるって言ったのに。だからつんちゃん、がんばっておっきなすべり台の一番上までのぼって手を振ったのに。パパ、ぜんぜん見ててくれなかったじゃないか。パパのうそつき。うそつきのパパなんて、だいっきらいだー!!」
とうとうつんちゃんは、泣き出してしまいました。
そっか!
パパはようやく気がつきました。
つんちゃんはパパに見ていて欲しかったのです。
パパが見ているから、勇気を出して、今までのぼったことのない一番大きなすべり台の一番上までのぼるころができたのです。
うわ~ん え~ん パパのうそつき。見てるって言ったのに…
「つんちゃん、ごめんな。今度はパパ、ちゃんと見ているから、つんちゃん、もう一回すべり台で遊んでおいで!」
「うん、わかった!今度はちゃんと見ていてね」
くるりと背を向けると、つんちゃんはすべり台に向かって走っていきました。
つんちゃんは公園の中で一番おおきなすべり台の一番上までのぼり、パパに向かって手を振っています。
パパも、つんちゃんに向かって、笑顔で手を振り返します。
つんちゃんは安心したような顔になり、万歳をしたままスタートしました。
「ひゃっほー!」
「ねえパパ、見てた?」
「うん、見てたよ」
「すごく速くて、すごくカッコよかったでしょ?」
「速かったね、万歳したままでカッコよかったよ」
「つんちゃん一人ですべれてすごいでしょ?」
「すごい、すごい。つんちゃん、こんなこともできるなんて、パパびっくりしちゃったよ」
つんちゃんは、とっても嬉しそう。
パパもとっても嬉しそう。
さて、次は何をして遊ぼうか。日曜日はまだ始まったばかりです。
つんちゃん、今日は楽しかったね。
いっぱい遊んだね。
あれれ?ねちゃった…?
むにゃむにゃむにゃ…
―おしまい―