ジャックの絵本
ジャックの絵本
にょろたのおひっこし
ここは にょろたがすむ うみべのこうえんです。
あたたかいはるがすぎ、もうすぐ あついなつがやってきます。
「が・が・がぁー!!」
「ど・ど・どぉー!!」
つちのなかで ねむっていた にょろたは びっくりして とびおきました。
つちのうえにでてみると
おおきなぶるどーざーが つちをほっていました。
きはきりたおされ おはなばたけはつぶされ
そこはもう にょろたのしっている いつものこうえんではありませんでした。
「ちょうちょくん、いったい どうなってるの?」
「びるをたてるための こうじがはじまったんだよ。」
こまったかおで ちょうちょくんはこたえました。
「え?! びるがたつの?」
「わたしのだいすきな あじさいのはなも なくなっちゃったのよ。」
かたつむりちゃんも かなしいかおでいいました。
「ぼくはもう ここにはすめないなあ。
どうしよう・・・
どうしよう・・・
どうしよう・・・
そうだ!! あたらしいおうちをさがしにいこう!!」
にょろたは たびにでることにしました。
こうえんからでたことがないにょろたが
さいしょにやってきたのは まちでした。
そこは いままでみたことのない たかいびるが たくさんたっていて
くるまも いそがしそうに はしっています。
そこへなにかが、ころ、ころ、ころ・・・。
「うぁ、うぁ~。これはなに?」
すると うえのほうから こえがしました。
「あら、こんなところに ごみがおちているわ!!すてましょう。」
ごみばこは ぺっとぼとるで いっぱいです。
「ぼくたちみたいに すいとうをもってくれば いいのにね。」
つぎにやってきたのは どうぶつえんです。
おおきな しろいいきものが なにかいっています。
「あぁー、あついなぁー。」
「きみはだれ?」
「ぼくは しろくま。 さむいくにから やってきたんだ。
まいにちあつくて だいすきなこおりも すぐにとけちゃうんだ。」
「そうなの?たいへんだね。ぼくのすいとうのおみず つめたいから あげるよ。」
「どうも ありがとう!」
「ばた、ばた、ばた・・・。」
きのしたで なにか おとがします。
「きみはだれ?」
「ぼくは かもめ。とおいしまから やってきたんだ。」
「どうしたの?」
「なにかが あしにからまって とれないんだよぉー。」
「これは びにーるぶくろだね。ぼくがとってあげる。」
「とれたー!!」
「どうも ありがとう!」
「これも ごみばこにすてようね。」
「きみは あたらしいおうちを さがしているんだって。
おれいに ぼくが いいところにつれていってあげるよ。」
にょろたは うれしくなって ききました。
「それは どこ?」
「うみだよ。」
「うみってどんなところ?」
「ひろくて きれいで きみもきっと すきになるよ。」
うみにつきました。
「のそ、のそ、のそ・・・。」
「きみはだれ?」
「わたしは うみがめ。こまっているの。」
「どうしたの?」
「うみに へんなものが ぷかぷか・・・。すなはまにも ごろごろ・・・。
まちがえてのみこむと たいへんだわ!!」
「それじゃあ、みんなでかたづけよう!!」
にょろたは かにさんと やどかりくんと いっしょにごみをすてました。
「かめさん、きれいになって よかったね。」
「どうも ありがとう。」
「ごめんね。ぼくはもういくけど、これからも みんなでうみをきれいにまもってね。」
きせつは もうあきです。
さむいふゆがやってくるまえに はやくおうちを みつけなくてはなりません。
ふとみると
「ばしゃ、ばしゃ、ばしゃ・・・。」
なにか はねるおとがします。
「きみはだれ?」
「わたしは さけ。 これから たまごをうむために かわをのぼって やまにいくのよ。」
「えっ?!ほんと?ぼくもいっしょにつれていってくれる?」
「いいわよ。せなかにのって!」
「さぁ、ついたわよ。」
「うわー。すてきなところだね。」
「くうきがきれいだなあー。みずもきれいだなあー。さけさん、ありがとう!
ぼくはここにすむことにきめたよ!!」
にょろたは いつまでもここをたいせつにまもっていこうと おもいました。
―おしまい―