ジャックの絵本
ジャックの絵本
ここは、つちのなか。
おや、なにかちいさなものが ぽつんとありますね。
ちかづいてみましょうか。
すると・・・・・・・。
いたいた、
たんぽぽのたねのぽっぽちゃんです。
もうずっとつちのなかでねています。
ぽっぽちゃんはちいさなためいきを
ふーっとついていました。
ずっとねていてあきちゃった。うごいてみたいなぁ。
・・・あれ?なんだかからだがむずむずする。
ちょっとのびをしてみようかな。
うーん。すると・・・
ぴょこん!
わあ、なにかがでてきた!
ぽっぽちゃんのたねのしたからねっこがでてきました。
「わあ、おもしろい。 もっともっとしたにのびてみよう。」
ぽっぽちゃんはごきげんです。
ねっこをたのしげにのばし、
めをだそうとうたいました。
「ぽっぽ、ぽっぽ、ぽ・・・・ぽ?」
へんなのです。
どうしてもうえにいかれません。
「ぽ~~~!」
じめんはびくともしません。
「おかしいなあ・・・。こっちにいってみようかな。」
ぽっぽちゃんはありったけのちからをだしてふんばりました。
「ぽ!えい!」
ぽこん!
わあ、まぶし!
やっとつちからめをだすことができました。
ふー、がんばった。
あれ、ぽっぽちゃんががんばっていたすぐうえには、
かたいコンクリートがありました。
「ああ、わかったわ。コンクリートでめがだせなかったんだわ。」
うーん
ぽっぽちゃんはせいいっぱいのびをして、
おひさまのひかりをいっぱいにあび、
はっぱもくきもすこしずつのばしていきました。
そんなあるひ。
かさかさ、こそ。
てんとうむしがやってきます。
「やあ、ぽっぽちゃん。きれいなはっぱだねえ。すこしかげで、ひとやすみさせてもらうね」
「こんにちは、てんとうむしさん。どうぞどうぞ、ゆっくりしていってね。」
こんなおはなしもしながらやがてつぼみがふくらんできました。
「わあ、きょうはあったかい。」
ぽっぽちゃんはおひさまのひかりにさそわれて、
1まい、また1まいと、ふんわりとはなをひらいていきました。
「わあ、さいたわ~。おひさま、こんにちは~。」
「ぽっぽちゃん、よかったねえ。おめでとう。きいろのはな、とってもすてきよ。」
「おひさま、ありがとう」
なんにちかさいたあと、しろくてふわふわしたものができてきました。
すると・・・
ぽっぽちゃんはまっしろなぼうしのように、
ふわふわのわたげのすがたにかわりました。
そして、やさしいかぜにさそわれて、
わたげの1つ1つが、さーっとそらへたびだちました。
「とんだとんだ~、なんておそらはひろいんだろう。
あそこにもここにもたんぽぽのおともだちがいるわ~」
ぽっぽちゃんはひろーいはらっぱに、
たくさんのたんぽぽといっしょにさいていたのでした。
ぽっぽちゃんは かぜにのって、たのしげにくるくるとおどりながら、
さいているたんぽぽにむかっていいました。
「みんなー またどこかであおうねー。またねー。」
-おしまい-