そらまめくんのベッド　（年中）

作・絵 なかや　みわ
福音館書店

あらすじ： 自慢のふわふわベッド。そらまめくんは誰にも貸したくありません。

“そらまめくん”の宝物は、ふわふわのベッド。“えだまめくん”も、“グリンピースの兄弟”も、“さやえんどうさん”も、‘’ピーナッツくん”も、みんなが“そらまめくん”のベッドで眠りたがるけれど、“そらまめくん”は、絶対に貸してあげません。
ところがある日、大事件が発生します。なんと、“そらまめくん”のベッドが無くなってしまったのです。何日も探したのに見つからず、 すっかりしょげかえっていたときに、ベッドがようやく見つかりました。うずらが卵を温めるのに使っていたのです。
「しかたがない」と、少しだけ貸してあげることにした“そらまめくん”でしたが、やっぱりベッドが心配で、うずらが卵を温めているすぐ近くに家を作り、ずっとベッドを見張ることにしました。すると不思議なことに、次第に卵の方が気になるようになったのです。
ある日、とうとう卵が孵り、二匹のヒヨコが生まれました。“そらまめくん”はとっても嬉しくなりました。得意にもなりました。
さて、ベッドを無事に返してもらった“そらまめくん”、夜遅くまでみんなで踊った後は、みんなをふかふかのベッドに招待して、仲良くぐっすりと眠りました。

評： お友達と仲良くするって素敵だなって思える絵本です。

大切な宝物のベッドを、お友だちに貸してあげることができない“そらまめくん”。「貸して」と言われるたびに、意地悪なことを言って断ります。ところが、ベッドがどこかへ行ってしまい、寝るところが無くて困っているとき、お友だちは自分達のベッドを貸してくれます。小さかったり、細かったり、薄かったり、硬かったりして眠ることはできなくても、その優しい気持ちは、子ども達にも伝わっていきます。
さらに、ようやくベッドを見つけても、卵を温めているうずらのおかあさんに「返して」とは言えず、仕方なく貸してあげることにした “そらまめくん”の優しい気持ち。ベッドを見張っていたはずが、次第に卵を心配するようになる“そらまめくん”の心の変化。そして、自分のベッドでうずらのヒヨコが生まれたときの喜びを経験することで、大切なベッドを友だちにも貸してあげることができるようになるというラストシーン。かわいらしい絵との相性も抜群で、子ども達の心を捉える作品となっています。
子どもにとって、大切なおもちゃやお気に入りのぬいぐるみをお友だちに貸してあげるということは、なかなか難しいもの。この絵本が、貸してあげる気持ちを芽生えさせるきっかけとなってくれそうです。

【参考：続編】
『そらまめくんとめだかのこ』