絵本紹介絵本紹介

ちいさなヒッポ(年少)

ちいさなヒッポ(年少)

作 マーシャ・ブラウン
訳 うちだりさこ
偕成社

あらすじ: “ヒッポ”はこっそり水面に遊びに出ると…

生まれてから一度も母親の側を離れたことがない、カバの“ヒッポ”。大きなお母さんと一緒なら、怖いものなどありません。誰にでも、一番大切だと教えられた「グアオ」と挨拶し、気軽に声をかけています。ある日、大人のカバが川の底で眠っている間に、“ヒッポ”はこっそり水面に遊びに出ます。すると、金色の目が音もなく擦り寄ってきました。それは大きなワニでした。“ヒッポ”が声を上げる間もなく、ワニは“ヒッポ”に噛みつきます。
「グッ、グッ、グアオ! たすけて!」必死の叫び声に気づいた母親がワニを撃退し、“ヒッポ”は危うく難を逃れることができました。

評:子どもの自立に向けての親子の関係を微笑ましく描いた絵本

年少児ともなれば、母親の全面的な庇護の元から少しずつ離れようとするもの。自立の始まりですから、心配でも、親は見守ってやるべきです。必要なことを教え、危険の少ない状況を作り出しながら…。
厳しい動物世界を舞台に、子どもの自立に向けての親子の関係を微笑ましく描いたこの絵本には、毅然とした母親の姿勢や態度、子どもとの臨機応変な対話とは何なのかなど、親が教えられることも多く含まれています。抑えた色彩で、大自然の美と、ダイナミックなカバの表情を見事に表現している版画も芸術的な、ステキな絵本です。