絵本紹介
絵本紹介
作 さとう わきこ
福音館書店
洗濯が大好きな“かあちゃん”は、お天気の良い日には、家中の物をみんなたらいに放り込み、ジャブジャブジャブジャブ洗います。カーテンも、洋服も、シーツも、枕カバーも、靴も、カサも、子ども達も、猫も、犬も、烏も…とにかく目に付いたものはすべて洗ってしまうと、今度は庭と向かいの森の木という木に縄を張り、洗濯物を全部干してしまうのです。その風景といったら、まるで運動会の校庭に張られた万国旗のよう。
ひと仕事終え、「洗濯物を干した後は、ラムネを飲んだ後みたいにすっきりするねえ」とご満悦な“かあちゃん”でしたが、その様子を雷様が見ていたものだから、さあ、大変! 雷様は、干されている子ども達や動物達のおへそを食べようと、全速力で雲を運転してやってきます。『ピカッ バリ バリ バリッ』けたたましい音と同時に、雷様が落ちてきました。
ところが、薄汚れた雷様を見た“かあちゃん”は、怖がるどころか、あっという間にたらいに放り込み、ジャブジャブ洗ってしまいます。夕方、すっかりキレイになった雷様は、おへそを取るのも忘れ、慌てて空へと逃げ帰って行きました。
さて、その翌日。またまた家中の物を洗濯していた“かあちゃん” の元に、思いがけないお客様が訪れるのでした。
「ばばばあちゃんシリーズ」でおなじみの、さとうわきこさんの作品。洗濯が大好きな“かあちゃん”の豪傑振りに、昔懐かしい肝っ玉母さんを思い起こす人も多いのではないでしょうか。洗われるのが嫌いな動物達が必死で洗濯から逃げようとする姿や、恐ろしいはずの雷様も豪快な“かあちゃん”には歯が立たず、逃げるように去っていく姿がユーモラスに描かれています。
また、ラストシーン、おびただしい数の雷様を前に、「まかしときい!」と胸を張る“かあちゃん”の後姿には、母親の力強さと安心感が感じられます。
大らかさに包まれ、思わず優しくなれる作品。お母様もお子さんと共に楽しんでください。