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はじめてのキャンプ(年長)

はじめてのキャンプ(年長)

作 林明子
福音館書店

あらすじ: “なほちゃん”はひとりでキャンプに行きたいと言い出しました。みんなは口々に「できないよ!」といいますが・・・

おとなりの“ともこおばさん”は、ちっちゃい“なほちゃん”のお友だち。ある日、“ともこおばさん”のお家に遊びに行った“なほちゃん”は、おばさんが近所の子ども達を連れてキャンプに行くことを知り、「わたしもいく」と宣言。大きな子達に、「ちっちゃいこはだめ」と言われてもめげず、みんなと同じことをする約束をして、一緒に行くことになります。
さて当日、元気に出発したものの、重い荷物を背負っての道のりは大変!川原では転んで泣きそうになるし、まきを集めるのも難しい。
でも、なほちゃんは、一生懸命がんばります。みんなで作ったご飯はとっても美味しくて、キャンプファイヤーも楽しかった。ところが、 夜中にたった一人でおしっこするのは、怖くて怖くて..。夢中でテントに逃げ戻った“なほちゃん”でしたが、「なほちゃんえらかったわ、もういちにんまえ、ひとりでおしっこにいけたものね。」とおばさんにやさしい声をかけられるととっても嬉しくなり、その夜はぐっすりと眠ることができます。
次の朝、「わたし、おおきいこのようにちゃんとキャンプできたよ」と大きな声で言う“なほちゃん”の姿には、大人への階段を一つ上った自信があふれているのでした。

評:成長において「やりたい」、「できる」という気持ちはとても大切。

小さな子は、大きな子と同じことをしたがります。「小さいからまだ無理」と言われても、「大丈夫、できる」と思うものです。この「やりたい」、「できる」という気持ちは、子どもの成長においてとても大切です。大人がこの瞬間を見逃さず、上手に導くことができれば、子どもはスムーズに自立の階段を上っていくことができるのです。
簡潔な文章と絵で、そんな小さな子の心の成長を余すとこなく表現したこの作品。子ども達は主人公の“なほちゃん”に自分の姿を重ね合わせながら、はじめてのキャンプを擬似体験していきます。ドキドキしたり、ちょっと怖いと思ったり…生き生きとした描写が子ども達の心を捉えるとともに、新たな挑戦心をも呼び起こしてくれることでしょう。