絵本紹介
絵本紹介
ジーン・モデシット 文
ロビン・スポワート 絵
もき かずこ訳
冨山房
うさぎのバーニー坊やが、お母さんに尋ねます。
「いい子ってどんな子?」そして、言います。
「絶対泣かないのがいい子なの?ぼく、泣かないようにした方がいい?」
ところがお母さんは、こう答えるのです。
「泣いたっていいのよ。でもね、バーニーが泣いていると、なんだかお母さんまで悲しくなるわ」
強い子、怒らない子、かわいい子…。バーニーが次々と挙げる“いい子”にお母さんは意外な言葉で応えていきます。
時に親は口にします。「いい子にしていられたら、ごほうびにケー キを買ってあげるからね」、「いい子にしていないと、サンタさんは来てくれないわよ」、「いい子で待っていてね。ママ、早く帰ってくるからね」云々。そう言われた子ども達は、素直な心でその言葉を受け取り、心から「いい子になりたい』、『いい子にならなければいけない』 と思っています。でも、“いい子”って、一体どんな子なのでしょう?もし、「いい子ってどんな子?」と我が子にまっすぐな目で尋ねられたら、果たして答えられるでしょうか? “いい子”の正解なんて、本当は無いのではないでしょうか? 知らず知らずのうちに、その時々の自分に都合の“いい子”像を、『いい子』という表現で子どもに押し付けてしまっているだけなのではないでしょうか?
数年前になりますが、子ども達にこの本を読んだことがありました。読み終えて感想を聞いたとき、一人の女の子が言いました。「安心した」と…。この本のすべてを物語っている彼女の言葉は、強烈な印象として今でも心に残っています。お母様ご自身のためにも、ぜひお読みいただきたい作品です。