絵本紹介
絵本紹介
作 モーリス・センダック
訳 じんぐう てるお
冨山房
おおかみのぬいぐるみを着て、いたずらを始めた“マックス”。大暴れする彼に怒ったお母さんは、“マックス”を夕食抜きで寝室に放り込んでしまいます。すると、寝室ににょきりにょきりと木がはえて、アッという間に森の中。どこからともなく運ばれてきた船に乗った“マックス”が、長い航海の末にたどり着いたのは、『怪獣たちのいるところ』でした。
すごい声で吼えている、ぎょろぎょろ目玉と鋭い爪を持った恐ろしい怪獣達を前に、“マックス”は怖がるどころか、怪獣ならしの魔法を使って、アッという間に怪獣の王様になってしまいます。
踊ったり、木に登ったり、行進したりと、楽しく遊ぶ、“マックス”と怪獣達。ところが、怪獣達が寝てしまうと、“マックス”は急に寂しくなり、優しいお母さんのところへ帰りたくなります。
と、そのとき、遠い遠い世界の向こうから美味しい匂いが流れてきました。“マックス”は、怪獣の王様をきっばりと辞め、長い航海の末に自分の寝室に帰りつきます。するとそこには、まだ暖かい夕食が置いてありました。
3歳~6歳くらいの幼児は、独自の空想世界を創り出して遊ぶことができます。それは女の子も男の子も同じこと。この時期に空想世界で遊ぶことは、人間形成の上でもとても重要です。そして、そんな彼らの空想世界を豊かに彩るのは、質の良い絵本です。この時期には、そんなことも考慮に入れての絵本の選択が望ましいと思われます。
この『かいじゅうたちのいるところ』は、そうした時期の男の子に、最適ともいえるファンタジー。センダックの描く、怖いけれどどこか ユーモラスな怪獣は、ただでさえ旺盛な彼らの想像力をより一層かき立ててくれることでしょう。また、いたずらをしたり、大暴れしたりしてお母様に怒られるというのは、お子さんなら誰にも覚えのあることでしょうし、反抗しながらもやっぱり寂しくなって、お栂様のところへ帰りたくなる“マックス”の気持ちにも大いに共感できるはず。特に、5 ~ 6 歳の男の子をお持ちのお母様は、ぜひお試しください。