としょかんライオン（年長）

作　ミシェル・ヌードセン 作 
絵　ケビン・ホークス
訳　福本友美子
岩崎書店

あらすじ： ある日、町の図書館に大きなライオンがやってきて・・・

ある日、町の図書館に大きなライオンがやってきました。図書館員のマクビーさんは大慌て。でも、館長のメリウェザーさんは、「図書館のきまりが守れるのなら、そのままにしておきなさい」と言うだけです。図書館の中をゆっくりと歩きまわり、絵本の部屋で気持ち良さそうに眠ってしまったライオン。お話の時間になると起き上がり、子ども達と一緒にじっとお話を聞きました。
ところが、お話の時間が終わってみんなが外へ出て行くと、ライオンは大きな大きな声で吠えたのです。その声を聞きつけたメリウェザーさんは、
「静かにできないのなら、図書館から出て行っていただきます。それがきまりですから！」
と一喝。うなだれるライオンに、
「静かにできるお行儀のいいライオンなら、明日も来ていいですよ」と話します。
次の日から、ライオンは毎日図書館に来るようになり、子ども達と一緒にお話の時間を楽しんだり、メリウェザーさんの仕事を手伝ったりするようになりました。
そんなある日のこと、ライオンと二人きりでいたメリウェザーさんが、誤ってケガをしてしまいます。それを伝えようと、大声で吠えてしまうライオン。おかげでメリウェザーさんは助かりますが、きまりを破ったライオンは、次の日から姿を見せなくなりました。
何日か経ったある日の夕方、仕事を終えたマクビーさんは、図書館の前に座っているライオンを見つけます。
「あのう、ご存じないかもしれませんが、図書館のきまりが変わったんですよ。」
と話しかけるマクビーさん。次の日、ライオンは、図書館のみんなの笑顔に迎えられたのでした。

評：きまりを守ることはとても大切なことだけれど、ときにはそれよりももっと大切なこともあるということを教えてくれるお話です

図書館は、本を読んだり、本を借りたりするところ。きまりを守れば、誰だって入れるステキな場所。そんな図書館を舞台にした、お話好きのライオンと、厳格な女性館長との心の交流が、優しいタッチのイラストと共に描かれます。きまりを守ることはとても大切なことだけれど、ときにはそれよりももっと大切なこともあるという、言葉で教えるのは難しいことを、自然に教えてくれるお話です。この本を読んだお子さんは、きっと、図書館に行ってみたくなることでしょう。