絵本紹介絵本紹介

しんせつなともだち(年少)

しんせつなともだち(年少)

作 ファン・イーチュン 
絵 村山知義
訳 君島久子
福音館書店

あらすじ: 食べ物を探しに出かけた子うさぎは、大きなカブを見つけ・・・

雪が降り積もる冬の山。食べ物を探しに出かけた子うさぎは、大きなカブを二つ見つけます。喜んだ子うさぎは自分でひとつ食べますが、 もうひとつは残しておきます。そして、「寒くて食べ物がないだろう」と思い、仲良しのロバに持っていってやることにします。ロバの家を訪ねると、残念ながら留守でした。そこで子うさぎは、カブをそっと置いて帰りました。
食べ物を探しに出ていたロバは、サツマイモを見つけて元気良く帰って来ました。カブに気づき不思議に思いますが、自分はサツマイモでお腹がいっぱいになったので、「寒くて食べ物がないだろう」と、仲良しのヤギにカブを持って行ってあげることにします。ところが、 ヤギは留守だったので、カブをそっと置いて帰ってきました。
その後、ヤギは同じように考えてそのカブをシカに持っていき、シ力はやっばり同じように考えて子うさぎに持っていきます。
さて、お腹がいっぱいになって眠っていた子うさぎは、目を覚まして、枕元にカブが置かれているのに気づきます。そして、「友だちがわざわざ持ってきてくれたんだな」と、とても嬉しく思うのでした。

評:親切な動物たちのストーリー。とても優しい気持ちになる絵本です。

雪が降る寒い山という厳しい環境下で、運良く食べ物を余分に見つけたのなら、明日の為に取っておこうと思うのが普通です。ところが、 この絵本に登場する動物達は違います。友だちを思いやり、雪の降りしきる中わざわざ届けてやる、とても親切で優しい気持ちを持っているのです。
動物達によって次々と回されていったカブが、最初に見つけた子うさぎの元へと戻ってくるという単純なストーリーの底にある「善意』は、純真な子どもの心に、強く訴えかける力があります。
また、登場する動物達は、ロバが赤いストールをかけていたり、シ力が青いマフラーをしていたりと、なかなかファッショナブル。中でも緑色のコートを着、同色の耳用の穴のある帽子をかぶり、木靴を履いた子うさぎは、幼い子どもを思わせるかわいらしさです。