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絵本紹介
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絵本紹介
文 松谷みよ子
絵 ひらやま えいぞう
童心社
昔々のお話です。“ごぼうさん”と“にんじんさん”と“だいこんさん”が、お風呂に入りました。一番風呂は“ごぼうさん”。ところがお湯が熱すぎて、真っ黒のまま飛び出しました。二番風呂は“にんじんさん”。熱くても我慢して長い間入っていたから、上がったときには真っ赤っ赤。最後に入った“だいこんさん”は、水でうめたぬるいお湯にゆっくり入って、体中よく洗ったから、今でも真っ白なんですって。
黒いごぼうと、赤いにんじんと、白いだいこん。幼児にも身近な野菜が、お風呂に入るという、とても楽しいお話。洗わないで出た“ごぼうさん”は真っ黒のままだけれど、“だいこんさん”はよ~く洗ったから真っ白になったというストーリーは明快で、幼児にもよく理解できますし、熱いお湯に我慢してつかっていたから、“にんじんさん” が赤くなったというのも、生活に密着しているだけに、幼児にも想像しやすい展開です。
昔話風の自然な語り口調と、素朴な絵柄から、作り手の温かさが伝わってくる絵本です。