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絵本紹介
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絵本紹介
作 村山 桂子
絵 織茂 恭子
福音館書店
ある日、タヌキの家の隣に、キツネが引っ越してきました。引っ越しの荷物が片づくと、キツネの奥さんはタヌキの家にあいさつに来て、
「ほんのつまらないものですが …」
と、かごいっぱいのイチゴを差し出します。ありがたく受け取ったタヌキの奥さん。何かお返しをしなくっちゃと、掘りたての筍を持ってお隣りへ。またまた、
「ほんのつまらないものですが…」
と差し出します。次々とおかえしをし合う、キツネの奥さんと、タ ヌキの奥さん。 とうとう家中の物を贈り合い、子どもまで贈り合って、最後は自分をおかえしにしてしまったのでした。
延々と続くキツネとタヌキのおかえし合戦。とうとう贈る物が無くなって、自分自身を贈り合います。滑稽な展開ですが、善意に満ちたやりとりと、繰り返しのリズムが快く、素直に笑える作品です。
ところで、子どもというものは、ちょっぴり背伸びして、大人の言葉が使ってみたいもの。「ほんのつまらないものですが…」「さきほどは、けっこうなもの…」のフレーズは、そんな子ども心をもくすぐって、楽しい気分にしてくれます。