小学校入試に運動があるのはなぜでしょう?
運動のテストの場合、学校側の評価のポイントは、大きく2つに分けられます。
一つは、文字通り運動能力を見たいと思っている学校。もっとも、オリンピック選手を育てようというわけではないので、運動能力がずば抜けた子というよりは、年齢相応の運動能力があるか、身体的な発育や基礎体力はどうかといった点について確認をしたいというのが、こうした学校の意向です。
もう一つは、運動を通して、指示されたことがどれだけきちんとできるかを見ようとする学校。こちらは、テスターの指示を即座に理解し、その通りに機敏に動くことが求められます。このように、一口に運動と言っても、両者は大きく違います。ですから、文字通りの運動なのか、あるいは指示行動的な運動なのかを把握した上で、それに則した準備をしなければなりません。
運動能力や基礎体力を確認する学校であれば、幼稚園の帰りに、園庭や近くの公園で体を動かして遊ばせる時間を取るというのも良いでしょうし、休日には家族で公園に出かけて、ボール遊びや鉄棒をしたり、遊具で遊んだりするのも良いでしょう。年中、年長と進むにつれ、外で遊ぶことが好きな子と、お家の中でばかり遊んでいる子とでは、基礎体力や運動能力に差が出ます。
家の中ばかりで過ごしている子は脚力がないために片足ケンケンをさせても歩幅の狭いケンケンになりますし、ケン・パーやグー・パーのような基本的なステップは出来てもケン・グー・パーなどの応用になると思うように足が動かないこともあります。ですから、できるだけ早い段階から外で体を動かして身体能力を高めておくことが大切です。
指示行動の場合には、話を聞く力や言葉を理解する力はもとより、それを行動に移すことが重要になってきます。集団の中で隣の子の動きを気にしたり真似したりしないで、自信を持って行動することが大切なのです。また、運動のテストは実技よりも順番を待っている時間のほうが長いので、おしゃべりをしたり、ふざけたりしない行儀も重要です。
ところで、一般的には体の小さな子ほど発育が遅れていて運動が苦手というイメージがありますが、私が見たところでは、案外体の大きな子に運動が苦手な子も少なくありません。体の小さい子は身軽なせいもありますが、マット運動・跳び箱・鉄棒など難なく上手にこなしたりします。小粒でピリッとしている傾向があるように感じられます。
もちろん、個人差があり全員が当てはまるわけではありませんが、体の大きな子については『できない』ことが目立つという不利な一面もあるということです。それだけに充分な準備が必要なのです。
〜次回の掲載は11月28日(木)の予定です〜