最近、ちょっとしたことですぐに泣く子が多いのはなぜだろう?【1】
この仕事に就いて30年余り経ちますが、最近、ちょっとしたことですぐに泣く子どもが増えているように感じます。
どうしてなのでしょう?私なりに検証してみました。
検証 【1 】母親の叱り方が泣き虫にしているのではないか
育児書などには、”怒る”と”叱る”は違うとか、子どもには怒るのではなく叱らなければいけないとあります。最近の母親は勉強熱心なので、そうした書物を読み、「そうよね、怒るんじゃなくて、叱らなくてはね」と思います。しかし、実際にそれができている母親は実は少ないのではないかと思うのです。
例えばこんなことはありませんか?
冷静に”叱り”始めたはずなのに、子どもが平然としているように見えるものだから、「この子は私の話を聞いているのかしら」「私の言っていることが本当に分かっているのかしら」とだんだん腹立たしくなって、次第に声が大きく、言葉がきつくなっていく。さらには、今叱っていることとは直接関係ない以前のことまであれこれと持ち出して、子どもを責め始める。こうして、いつの間にか感情的になり、”怒り”へとエスカレートしていくのです。すると、最初は我慢していた子もたまらなくなって、結局は泣き出します。それを見て母親は、「泣かなくてもいいのよ。わかればいいの。もうしないわね。」などと言いながらも、心のなかでは、『これで少しは反省しただろう』と納得して、ようやく”お仕置きタイム”終了を迎えるといった具合です。
この母親は、子どもが反省しているかどうかが判断できないものだから、泣くというわかりやすい変化を見せたときに、ようやく納得して、許しているのです。しかし、こんなことを繰り返していると、子どもは『泣くまで叱られ続ける』ということを体感し、早く終わらせるために、すぐ泣くようになるでしょう。さらに悪いことに、『泣けば許される』ということも学ぶため、悪いことをしたとは全然思っていなくても、『ママが怒りそうだ』と感じたときにはとりあえず泣く子になるかもしれません。そういう子は、人前で泣くことが平気なだけでなく、泣けば得すると思っていますから、ちょっと困ったことがあったり、不安になったり、誰かに助けて欲しいと思ったりすると、すぐに泣くようになるでしょう。そうやって育った彼らは、大人になってもすぐに泣くのではないかと、とても不安です。
子どもを泣かせるために叱るのでもなければ、ましてや、母親の気を収めるために叱っているのでもありません。どうか、普段から『泣かないこと=偉いこと、かっこいいこと』という概念を子どもに持たせるよう気を配ってください。そして叱ったときには、「ママの言うこと分かった?」「うん、わかった。」「じゃあ、おしまい。泣かないで最後までしっかりと聞けたあなたは、とっても強い子ね。」と、微笑んで終わるぐらいのゆとりを持って欲しいと願います。
※次回は、別の角度から検証します。
〜次回の掲載は12月12日(木)の予定です〜